コラム

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何を使って?どう洗う?夏の生理と“洗い過ぎ”のお話

何を使って?どう洗う?夏の生理と“洗い過ぎ”のお話

 

四季の移ろいがある日本では、年によって夏の暑さにもかなり違いがありますよね。真夏日が比較的少ない、梅雨の延長のような冷夏もあれば、今年2018年のように連日ニュースで熱中症の話題が上がる暑夏も。湿度も高くつねに肌のベタつきを感じているような猛暑となると、朝晩だけでなく、環境や状況によっては3度、4度とシャワーを浴びる方もいるのではないでしょうか。

そして、大量にかいた汗をすっきり流したいのはもちろん、生理中ともなれば経血と汗によるムレから解放されてさっぱりしたい!という気持ちはいっそう増します。シャワーを浴びる時は、当然ながらデリケートゾーンを石けんやボディソープで洗ったりすすいだりすることになりますが、そこには大きな落とし穴が…。今回は、この時期ならではの“洗い過ぎ”と生理中のトラブル、その予防策についてお話ししたいと思います。

肌表面だけでなく膣の中にも存在するさまざまな常在菌

 

6月のコラムでは、肌の表面に棲んでいる常在菌についてお話ししました。常在菌は、デリケートゾーンの肌の部分にも棲んでいますが、粘膜に覆われている膣まわりや膣の中にも存在します。膣の中は暖かく湿度も高いため、ことさら菌が繁殖しやすい環境となっています。膣のまわりや膣の中の菌にも善玉、悪玉が存在しますが、肌と同様にpHによってそのバランスが変わります。肌においては、菌のバランスが良好に保たれるのはpH値が弱酸性の状態にある時でしたが、膣においては、もう少し酸性に傾いたpHで健やかな状態となります。

膣に存在する善玉菌とは、酸性の環境下で活性化される乳酸菌の一種、デーテルライン桿菌という菌です。このデーテルライン桿菌が元気な状態だと、そのほかの雑菌の繁殖は抑えられます。これを、膣に備わっている「自浄作用」と呼びます。何かの原因によって膣のまわりや膣の中のpHがアルカリ性に傾くと、このデーテルライン桿菌の働きは弱まり、雑菌や病原菌が繁殖してかゆみの発生や、においを強く感じる、といった状態を招くやすくなります。こうなってしまうと、生理中の不快感は普段以上に倍増してしまいますよね。

デリケートゾーンは、汗などが長時間留まってムレてしまうことを避け、清潔に保ちたい部分です。しかしながら、肌や粘膜が常在菌のバランスで守られているがゆえ、洗い過ぎは確実にトラブルに繋がってしまいます。かゆみやにおいといったトラブルを防ぐためには、シャワーの場合であれ湯船につかる場合であれ、体を洗う際にデーテルライン桿菌を洗い流し過ぎないよう気をつけることが重要なポイントとなります。

 

膣の自浄作用を損なわないような洗うもの選び、洗い方を

デリケートゾーンとは、いわゆる下腹部、膣を含めて皮膚がヒダのようになっている陰唇や肛門の部分までを含んだゾーンをさします。膣まわり、膣の中は酸性で活性化されるデーテルライン桿菌による自浄作用が保たれているため、アルカリ性の石けん(多くの一般的な石けんはアルカリ性)で洗い過ぎるとその働きが損なわれてしまいます。弱酸性のボディソープは比較的マイルドですが、洗うのはアンダーヘアのあたりまでにしましょう。デーテルライン桿菌が存在する膣のまわり、膣の中は洗浄剤を使わず、すすぎ洗いで十分なのです。また、洗浄剤なしでもウォッシュレットやシャワーなどの強いすすぎが度重なると、やはりデーテルライン桿菌が流れて雑菌が繁殖しやすくなります。

そして、夏場に朝も晩もシャワーやお風呂に入る方、あるいはデリケートゾーンにトラブルが出たことがある方は、よりマイルドなデリケートゾーン専用の洗浄剤を選ぶことをおすすめします。天然由来の乳酸が配合されているデリケートゾーン用のソープやウォッシュは、より低刺激かつデーテルライン桿菌の働きを応援してくれます。清潔にしながらも膣まわりや膣の中のpHを健やかに保つことができるため、欧米ではデリケートゾーン用のソープやウォッシュを使うことは当たり前になっています。

また、膣まわりや膣内のpHを乱さないためには、生理期間を快適に過ごすために使う拭きとりシートやミストも、必ずデリケートゾーン専用のものを選んでくださいね。

トラブル時は経皮吸収率アップ!? だからオーガニック

 

今回は、洗うものや洗い方によってデリケートゾーンのトラブルを招いてしまうケース、それを防ぐための洗浄剤選び、洗い方などについてお話しました。それでも生理中などに、夏の汗もなどのようなトラブルの兆しを感じた時は…。生理中に使うナプキンや生理の前後に使うサニタリーパッドまで、できるだけオーガニックコットン製のもので統一することをおすすめします。これは通気性を良くするという目的もありますが、デリケートゾーンは、実は物質が肌や粘膜から入り込む“経皮吸収”の確率が全身の中でも最も高いためです。

腕の肌から吸収される量を1とした場合、頭皮は3.5倍、脇は3.6倍、頬は13倍、背中は17倍、デリケートゾーンにいたっては42倍もの吸収率といわれています。そしてトラブルが発生した時は肌のバリア機能が低下しているため、吸収率がさらに上がることが予想されます。便利性を優先してポリマー吸収剤などを用いた生理用品を選んだ場合、角質細胞より分子の小さい一部の化学物質は、肌から体内へ取り込まれる確率が高くなります。

また、口から物質を吸収する経口吸収では、約10日で消化や分解のプロセスを経て9割がたが排出されるのに対し、肌から吸収された物質は、すんなりと体外に排出されにくいといわれています。となると、やはりトラブルが生じていない日常から、デリケートゾーンに使うもの(洗浄剤、保湿アイテム、生理用品、下着など)は、できるだけ化学物質フリーのものを選ぶのが、未来の体のためにもベストといえそうですね。

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セルフケアコンシェルジュ いしずか久見子

美容ライター(現在も 石塚久美子 名義で活動)として、1998年より数々の美容トレンド、健康法、国内外のメイクアップアーティストや化粧品開発者の取材を経験。現在は、宝島社『リンネル』でナチュラルコスメやオーガニックコスメを中心とした連載を担当中。自身が敏感肌であったことから、得意とするのは、アロマセラピーや色彩の基礎を踏まえた上での、肌の弱い方に向けたコスメやメイクの解説。2012年からは都内数カ所の保健センター 精神保健デイケアの社会復帰プログラムにて、気分転換や余暇のツールとして色や質感を心の健康管理に役立てるアートレクリエーションの講師も担当している。

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