コラム

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“尿もれ”を防ぐ姿勢改善と骨盤底筋群トレーニング

“尿もれ”を防ぐ姿勢改善と骨盤底筋群トレーニング

前回のコラム『現代人の誰もがなりうる“尿もれ”はなぜ起こるの?』では、重力の影響を受けて二足歩行で生活している限り、誰でもなりうる「腹圧性尿失禁」タイプの“尿もれ”の原因についてお話ししました。

“尿もれ”が起こると、もう元に戻らないのではないか…と不安に思う方も多そうですが、大丈夫です!

「腹圧性尿失禁」は、体の使い方を変えて地道に骨盤底筋群のトレーニングを重ねれば改善していけます。

今回は、骨盤底筋群に負担をかけない姿勢の取り方と、“尿もれ”を防ぐためのトレーニングをお伝えします。

なにげない姿勢が骨盤底筋群に負担をかけている?

骨盤底筋群は、お腹まわりのほかの筋肉と連携して働いているといわれています。

お腹をコルセットのように囲んで内臓を支えている腹横筋、姿勢維持筋とも呼ばれ背骨を支えている多裂筋、呼吸や自律神経と関わりの深い横隔膜、そして骨盤底筋群、この4つを総称してインナーユニットと呼びます。

腹横筋と多裂筋が「壁」、横隔膜が「天井」、骨盤底筋群が「床」という感じでイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

このインナーユニットが協働して腹圧をコントロールするにあたり、横隔膜と骨盤底筋群は平行関係にあるのが理想的です。

しかし女性が立ち姿勢の時によくしてしまう反り腰(骨盤が前に傾く)や、長時間のデスクワークをしている方に多い猫背ぎみの座り方(骨盤が後ろに傾く)は、骨盤底筋群への負荷が大きくなり“尿もれ”を招きやすくなります。

(横隔膜と骨盤底筋群の正常な位置関係)

(反り腰)

お尻を突き出すような反り腰は、一見すると姿勢が良いように見えますが、骨盤が前傾して横隔膜と骨盤底筋群が平行の位置関係を保ちにくくなります。また、下腹ぽっこりになりやすく、腰に負担がかかる姿勢です。

(猫背)

立ち姿勢での猫背はどちらかというと高齢者の方に多く見られますが、若い世代の方でも長時間のデスクワークやスマホの使用によって、首が前に出て背中が丸くなりやすくなっています。猫背になると骨盤は後傾、やはり横隔膜と骨盤底筋群が平行の位置関係を保ちにくくなります。

 

骨盤底筋群トレーニングは呼吸を意識することが大切

腹圧がかかるとは、インナーユニット内に圧力がかかって上下左右に広がることです。

とくに日頃から私たちは重力の影響を受けているので、下方向への圧はより強くなります。

女性の骨盤底筋群には、尿道、膣、肛門と3つの出口があり、出産はこの下方向に出す圧力が最大級になりますが、排便やくしゃみ、咳でも、下に押し出す腹圧が一時的に強くかかります。

この時に、きちんと機能する骨盤底筋群は適切なタイミングで収縮して骨盤底を引き上げてくれるので“尿もれ”は起こりません。

しかし、骨盤底筋群の機能が低下して収縮の反応が遅れると“尿もれ”が起こります。

そのため、普段から呼吸とともにインナーユニットを意識して骨盤底筋群を収縮(引き上げる)させるトレーニングをすることが必要です。

トレーニング自体は、電車に乗っている時や洗い物をしながらなど、骨盤をまっすぐにした体勢を取れる場所でならどこでもできます。

—骨盤底筋群トレーニングのポイントー

 

・足裏をしっかり床につけて立つ。

・反り腰を防ぐため、ほんの少し恥骨を前に出すイメージで骨盤を真っ直ぐに

・お腹に力を入れすぎずに鼻からやさしく息を吸う

(みぞおちと下腹に手を当て、平行関係にある横隔膜と骨盤底筋群が下がるのをイメージ)

・息を吐きながら、骨盤底筋群(肛門や膣)を胃のほうまで引き上げる

(みぞおちと下腹に手を当て、平行関係にある横隔膜と骨盤底筋群を引き上げるイメージ)

この骨盤底筋群トレーニングで難しいと感じやすいのは、「息を吐きながら引き上げる」ところかと思います。

吸いながら引き上げるほうがイメージはしやすいのですが、体の中で起こっている横隔膜と骨盤底筋群の実際の動きは逆です。

この動きは、呼吸とともに動かす部分を意識しながら何度も繰り返していくうちに掴めてくると思います。

トレーニングは座り姿勢や仰向けの姿勢でもできます。

座り姿勢の時は反り腰ではなく猫背と骨盤の後傾が起こりやすいため、椅子に深く腰掛けて骨盤を立てて行ってください。

仰向け姿勢の時は、両足を軽く開いて膝を立て、ごくわずかに尾てい骨を床から持ち上げようとすると骨盤底を意識しやすいと思います。

継続は力なり、とはいえ症状が軽減されない場合は…

骨盤底筋群の8割は遅筋繊維と呼ばれる、ゆっくり反応して収縮する繊細な筋肉です。

排尿の際に途中でキュッと止めてみる、肛門を締める、といった瞬発的な引き締めの動きだけでは、“尿もれ”を予防するトレーニングとしては不十分です。

骨盤底筋群を含めたインナーユニットを意識して、ゆったりとした呼吸でトレーニングを積み重ねていきましょう。

腹式呼吸がわからない、あるいは普段からパワーヨガや体幹トレーニングなどを習慣にしていて、腹圧を強くかける呼吸法に慣れてしまっていると、お腹に力を入れ過ぎずに骨盤底筋群を引き上げていく感覚を得るまでに少し時間を要するかもしれません。

私もボディワークに携わった当初はなかなか感覚が掴めずにいたのですが、3年、5年、10年と経つうちに骨盤底筋群の中でも肛門だけを締める、インナーユニットを意識しながら骨盤底筋群を膣のほうへ引き上げる、というのを別々に意識してできるようになってきました。

また、半年、1年とトレーニングを続けてみても、まったく変化を感じ取れない場合には、自律神経系の不調が原因となっている可能性も考えられます。

というのも、膀胱と尿道の働きの連携を司っているのは自律神経や知覚神経です。

過度のストレスや緊張、あるいは閉経による女性ホルモンの減少で自律神経のバランスが崩れることにより、排尿のタイミングがうまくいかなくなることがあるようです。

“尿もれ”とともに不眠傾向やつねに気持ちが落ち着かない、などの自覚症状がある場合にはクリニックに相談してみてくださいね。

参照サイト

東京女子医科大学東医療センター

骨盤底機能再建診療部

骨盤底筋訓練

https://twmu-mce.jp/mce/prsurgery/contents/training.html

亀田メディカルセンター

ウロギネ・女性排尿機能センター

骨盤底リハビリ

http://www.kameda.com/pr/urogyne_center/rehabilitation.html

セルフケアコンシェルジュ いしずか久見子

美容ライター(現在も 石塚久美子 名義で活動)として、1998年より数々の美容トレンド、健康法、国内外のメイクアップアーティストや化粧品開発者の取材を経験。現在は、宝島社『リンネル』でナチュラルコスメやオーガニックコスメを中心とした連載を担当中。自身が敏感肌であったことから、得意とするのは、アロマセラピーや色彩の基礎を踏まえた上での、肌の弱い方に向けたコスメやメイクの解説。2012年からは都内数カ所の保健センター 精神保健デイケアの社会復帰プログラムにて、気分転換や余暇のツールとして色や質感をストレスマネージメントに役立てるアートレクリエーションの講師も担当。

 

これまでのさまざまな取材や学びの経験から、30代では代謝、とくに体の使い方や食が重要であることを深く実感。整体的要素を含むタイ式ヨガ“ルーシーダットン”の講師資格、栄養医学のアドバイザー資格などを取得。適度な運動、食べ方、化粧品の選び方や使い方を見直す、セルフケアによって自身の花粉症や体の歪みも驚くほど軽減したため、現在は“無理をしないセルフケア”を伝え広めるべく邁進中。

 

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