コラム

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婦人科医の著書に学ぶ、膣の菌バランスを大切にした生理用品選び

婦人科医の著書に学ぶ、膣の菌バランスを大切にした生理用品選び

2020年、本来なら東京でのオリンピック開催を契機に、世界各国との交流がより活発になり、エコフレンドリーでサステイナブルなプロダクトが市場を賑わすことが予想されていた年。私たちは、未知のウィルスの蔓延という予想しえなかった視点から、環境づくりや健やかさについて地球規模で深く考えさせられることに…。

また、こんなにも“免疫力”という言葉を毎日のように見聞きしたのも未曾有の状況でした。ただ、これまでも女性の場合は生理が毎月あるので、男性と比べて自分の免疫力の良し悪しが意識に昇りやすかったように思います。生理はホルモンによってコントロールされており、ホルモンの分泌は自律神経系と密接な関係にあります。多くの女性は、環境の変化による外的ストレスや精神的なプレッシャーによる内的ストレスによって、生理前のPMSや生理痛が重くなったという経験をしたことがあるのでは。そして生理が関係していてもいなくても、膣まわりに起こるそのほかのトラブルもまた、免疫力と関係が深いことをご存知でしょうか。

免疫力が下がると、膣まわりのトラブルが起こりやすくなる?

腸内環境は、腸内フローラと呼ばれる善玉菌、日和見菌、悪玉菌の構成がだいたい2:7:1の割合で保たれているのが理想的といわれています。同様に、膣内フローラにも善玉菌、日和見菌、悪玉菌が存在しています。膣内においては善玉菌の代表であるデーデルライン桿菌が優勢な状態であれば、きちんと自浄作用の働く酸性に保たれ、雑菌が繁殖しにくい健やかな状態といえます。

菌バランスが乱れて悪玉菌が優勢になると、日和見菌も活発化して悪さをするのは膣内も腸内も同じです。膣内における日和見菌というと、真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が代表的で、このカンジダ菌が膣内で過剰に増殖して起こるのが「カンジダ膣炎」です。カンジダ膣炎はかゆみやただれ、白っぽいおりものの発生などを特徴とする炎症ですが、「膣トリコモナス症」という炎症もまた、強いかゆみ、そして悪臭をともなうおりものを特徴としています。

“ちつケア(インティメイト・ヘルスケア)”の大切さを解説している産婦人科医 八田真理子先生の著書*1によると、 カンジダ菌は常在菌の一種なので誰もが「カンジダ膣炎」に罹る可能性がある一方で、「膣トリコモナス症」は性交渉が主な感染ルートとされています。ところが、体力の低下など免疫力が落ちていると、性交渉が一切なくとも温泉やプールなどで「膣トリコモナス症」に感染してしまう可能性があるのだそう。

免疫力を低下させないためには、過労、睡眠不足、食生活の乱れ、便秘、冷えなど、体力の消耗や毒素の蓄積といった要因を減らすことがまず大前提。さらに以前のコラム『何を使って?どう洗う?夏の生理と“洗い過ぎ”のお話』でも触れていますが、膣内フローラにダメージを与えるほど膣まわりを過剰に洗い過ぎないよう、デリケートゾーン専用のウォッシュなどを使うようにしましょう。

生理用品選びは、膣まわりの環境を整えるための第一歩

このように最近は、予防医学の観点からデリケートゾーンケアを提唱される婦人科の先生が増えてきました。一般的に産婦人科というと、月経トラブルについてや妊娠・出産にまつわる診療を日々こなしている姿を想像する方が多いのではないかと思います。しかし、都内にあるウィメンズクリニック*2 のサイトにある先生のお話では、通常の診療でも膣炎の患者さんは日に30人以上訪れるというから驚きです。クリニックでは、デリケートゾーンに関する小手術、更年期の膣萎縮に起因するトラブルに対処するレーザー治療なども積極的に行うと同時に、菌バランスの乱れが悪化しないよう生理用品選びも重要視。「化学成分を使用せずに作られたものが、理想的」であり、「オーガニックコットンで作られているナプキンや布ナプキンがお勧め」というアドバイスがあります。

免疫力が低下していると、たとえ性交渉がなくても膣まわりにトラブルが起きることはあります。判断基準として、強いかゆみやヒリつき、おりものの異常のいずれかが見て取れた時は、速やかにクリニックに相談を。ただ、生理時や生理前後のおりものシートなどを使った時に感じる一時的なかゆみやかぶれは、生理用品やショーツによるムレが原因で雑菌が繁殖して起こっている可能性が大。先述の八田先生の著書にも「女性器はムレやすいので、通気性が重要となります」とあり、化学繊維を使ったものは肌がかぶれたり赤くなりやすいため、できるだけ肌にやさしい素材としてコットンを挙げられています。

とくにこれからの季節はムレにくい素材を重視したナプキンやおりものシート選びがポイント。環境ホルモンが生じるプラスチックは不使用で環境にダメージを与えることがなく、小まめに取り替えれば吸収力の不安もクリア。さらさらと通気性の良いオーガニッックコットンの生理用品で、デリケートゾーンを大切にする環境づくりを。湿度の高まる梅雨から夏を、少しでも快適に過ごしていきたいですね。

*1参照文献

『産婦人科医が教えるオトナ女子に知ってほしい大切なからだの話』 八田真理子 著 アスコム

*2参照サイト

白金高輪 海老根ウィメンズクリニック デリケートゾーンケアについて

4.月経の時のデリケートゾーンケア ナプキンの選び方

http://ebine-womens-clinic.com/medical_treatment/delicate

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セルフケアコンシェルジュ いしずか久見子

美容ライター(現在も 石塚久美子 名義で活動)として、1998年より数々の美容トレンド、健康法、国内外のメイクアップアーティストや化粧品開発者の取材を経験。現在は、宝島社『リンネル』でナチュラルコスメやオーガニックコスメを中心とした連載を担当中。自身が敏感肌であったことから、得意とするのは、アロマセラピーや色彩の基礎を踏まえた上での、肌の弱い方に向けたコスメやメイクの解説。2012年からは都内数カ所の保健センター 精神保健デイケアの社会復帰プログラムにて、気分転換や余暇のツールとして色や質感をストレスマネージメントに役立てるアートレクリエーションの講師も担当。

 

これまでのさまざまな取材や学びの経験から、30代では代謝、とくに体の使い方や食が重要であることを深く実感。整体的要素を含むタイ式ヨガ“ルーシーダットン”の講師資格、栄養医学のアドバイザー資格などを取得。適度な運動、食べ方、化粧品の選び方や使い方を見直す、セルフケアによって自身の花粉症や体の歪みも驚くほど軽減したため、現在は“無理をしないセルフケア”を伝え広めるべく邁進中。

 

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