とかく悩みは多いものの、すぐに誰かに相談というわけにはなかなかいかないデリケートゾーン。日本人特有の恥じらう気持ちも手伝って、デリケートゾーンについて堂々と口にしたりすることはタブーだとお考えの方がまだまだ多いように感じます。
実際、私自身も若いころから生理不順や無月経、不妊治療、子宮の手術などライフステージごとにデリケートゾーンを意識せざるを得ない多くの場面に遭遇してきました。にもかかわらず、あえて意識して見たり触ったりすることなど考えたこともなく40年以上も放ったらかしの状態でした。
しかし、それを覆す大きなターニングポイントがつい数年前やってきました。更年期を迎えカラダの劇的な変化に見舞われたのです。全身の肌の激しい乾きと常に痒みやヒリつきを感じる不快感。それはもちろん、肌1枚でつながる膣をはじめとするデリケートゾーンにも及びました。皮膚感覚が不快だと気持ちもザラついてイライラしたり怒りを感じやすくなったり、ゆとりのない自分に嫌気もさして、どうにかこの状況から脱出したいと始めたのがデリケートゾーンケアでした。50歳を目前にしてやっと気づいたその大切さ。デリケートゾーンがうるおって柔らかくなるとこんなに自由で開放的な心とカラダになるんだ!そんなリアルな感動をみなさんにも知っていただけたら嬉しく思います。
まずは自分のデリケートゾーンを知る、意識する
みなさんはご自分のデリケートゾーンをご覧になったことはありますか?
たとえば服を脱いだとしてもひっそりと影に隠れているエリアですからなかなか目にすることはありませんよね。ですので、まず仲良くなるためのはじめの一歩として、ぜひ鏡を使ってご自分のデリケートゾーンとご対面してみてください。いったいどんな形でどんな色をしているのか、肌質はどんな感じか。目で確認することでそのパーツを知り、自分の一部として意識が芽生えるでしょう。
デリケートゾーンは一人ひとりの指紋が違うように、その見た目は人によって様々です。縦にひらひらとした小陰唇とそれを取り囲むふっくらとした大陰唇に覆われるようにして尿道口、膣口、少し離れて肛門が位置する、という基本的な配置は同じですが、色や形はそれぞれの個性になります。
本質的に同じなのは、いい状態であればしっとりしたうるおいがあり、やわらかくぷりんとした状態であること。冷えてうるおいをなくしたデリケートゾーンは、乾物のようにチリチリと小さく萎縮してパサっとした状態です。例えて言うなら、生のしいたけと乾燥しいたけの違いのような感じでしょうか。私も初めて見たときは当然のごとく乾物状でなかなかの衝撃でした。ただ、それだけ気にかけてこなかった証でもあり、恥ずかしいよりもこれからは大事にしようという気持ちのほうが勝りました。
特に膣は子宮と繋がる器官です。東洋医学的にいうと、子宮はカラダ全体を繋ぎ生命エネルギーを高める役割を担う女性にとって重要な臓器。脳と密接なつながりを持ち自律神経やホルモンバランスの働きとも直結しているため、膣が乾くと生殖器にまつわる不調のみならず、頭痛や肩こり、腰痛、肌荒れ、物忘れなど一見すると全く関係なさそうな不調の一因にもなります。日頃からどんなことに注意してどう触れ合うか、しっかりと向き合うことで女性が心豊かにここちよく生きるための大きなサポートになってくれることは間違いありません。
もしも自分で見ることに抵抗があるという方は、指先にオイルをつけ軽く表面を撫でながらまずは触れて形を確かめるところから始めてみましょう。
デリケートゾーンケアの2つのメリット
「毎日スキンケアをしますか?」と質問すると、ほとんどの方が「はい」と答えます。ただ、どの部分をケアしているかを伺うと、「顔」や「手や足」といった回答がほとんどです。
このみなさんが毎日当たり前に行うスキンケア習慣の仲間にぜひデリケートゾーンを加えてほしいなと思います。なぜなら、ここも同じ1枚で繋がる皮膚の一部だからです。
ここで少しだけ皮膚についてのお話を。
皮膚は、全身を包むことで鎧のような「バリア」となり、体内に侵入しようとする敵から身を守るという大きなミッションを担っています。そして、そのミッションをクリアするために100%の力を発揮する条件は、皮膚が「しっとり潤ってやわらかい」ことです。
この条件は、もうひとつのミッションにもプラスとなります。それは、皮膚にある穴を窓のように自在に開け閉めして体内の不要なゴミをいつでもぽいっと捨てられる「デトックス」というミッションです。
皮膚にある穴とは、汗孔や毛穴とよばれる汗や脂を出す穴、目、鼻、口、耳などがありますが、デリケートゾーンにも尿道口、膣口、肛門という3つの穴があります。どの穴も皮膚が乾いて硬い状態だと建てつけの悪い窓のようにスムーズに開閉ができず、効率的にゴミを捨てることができません。
特にデリケートゾーンは排泄や生理を司る場所ですから、いかに窓が開きやすくスムーズにデトックスできるかが体調をコントロールする上で大きな鍵となります。ここはぜひとも溢れるような潤いを死守しておきたいですね。
そういうわけで、デリケートゾーンをケアする1つ目のメリットは、いつでも溢れる潤いをキープできること。
そしてもう1つのメリットは、皮膚がやわらかくなることで血液の循環を促して体温と代謝をアップできることです。
ここでちょっと簡単なチェックをしてみましょう。あてはまるものはありますか?
□ ドライアイ、目がしばしばする
□ 鼻血が出やすい、鼻の中が乾いている
□ 唇のカサつき、皮向け
□ 指先・爪周りの乾燥
□ ひじ・ひざがカサカサしている
□ かかとがザラザラ、割れている
□ 頭痛、肩こり、腰痛がある
□ がんこな便秘に悩んでいる
□ PMS/生理不順
□ 体の冷えが気になる
□ むくみが気になる
いずれも血流が滞ることによって起こる不調です。1つでもあてはまるものがあれば、それはカラダのどこかに血液循環の滞りがあるサイン。日々カラダのチェックを心がけていきましょう!
デリケートゾーンをケアすることで、カラダの中心から全身に向けて血液の循環が促がされ、体温と代謝がアップすることで以下のようなライフステージのあらゆる場面でもメリットが生まれます。
◆生理痛・ PMS・生理不順など生理の不調
◆妊娠・出産
◆更年期や閉経にまつわる不調
◆睡眠や精神面など心身の健康
◆肌の不調など美容面の悩み
◆パートナーとのコミュニケーション
ケアを始めることに年齢は問いません。少し生きづらいなと感じることがあったり、未来の自分に向けて準備をしておきたいと思ったら、1分でも1秒でも早く始めることをおすすめします。
しっとりふわふわのデリケートゾーンに育てるための超簡単オイルケア
顔のスキンケア同様、毎日の習慣にしてほしいのがオイルを使ったセルフケアです。本来は、手で直接触れてオイルを塗布する方法がマッサージ効果もプラスされ変化を実感しやすいですが、今回はさらに潤いをアップさせるプラスワンのケアをご紹介します。寝ている間にできる超簡単オイルケア法ですので、デリケートゾーンに直接触れることに抵抗のある方やケアに時間をかけたくないという方にもぜひおすすめです。
《用意するもの》
- 美容オイル:セサミオイルやアーモンドオイル等100%ナチュラルの植物オイルまたはデリケートゾーン専用オイル
- コットン
- ナトラケアパンティーライナー
《ケア方法》
① パンティーライナーをショーツに装着します。
② オイルを染み込ませたコットンをパンティーライナーの中央に置き、そのままショーツを履いておやすみください。
夜寝ている間にコットンのオイルがデリケートゾーンに染み込んで、翌朝にはしっとり潤いある肌に。睡眠の質を高めて、カラダの回復力のサポートにも繋がります。
※生理時はお休みしてください。
食用ごま油を美容オイルに変身させる法
デリケートゾーンケアのオイルによくおすすめするのが、アーユルヴェーダの健康法でもマッサージオイルとしてよく使われるセサミオイルです。
アレルギー反応が極めて少なく、酸化しにくい性質がありますので肌を柔軟にし保護するのにも適しています。
化粧用セサミオイルはキュアリングという熱処理が施されているものですが、フレッシュな食用のごま油を自宅でキュアリングしてマッサージオイルを作ることも可能です。
《キュアリングとは》
ごま油を加熱することで抗酸化力を高め、ケアに適した状態にすること。
ごま油に含まれる抗酸化成分セサモリンが加熱によりセサモールに変化することでさらに強い抗酸化力を発揮し、美容効果と保存性が高まります。また、加熱することでべたつき感のないさらっとした使い心地に。
《キュアリングの方法》
材料:太白ごま油
※茶色い焙煎されたごま油ではなく、白いごま油を使います。
用意するもの:
- 鍋(ステンレスやホウロウ製がおすすめです)
- 保存用瓶
- 温度計
①太白ごま油を鍋に入れ弱火でゆっくり加熱する
②途中攪拌しながら90℃まで熱したら火を止める
③余熱で100℃まで上がったらそのまま粗熱が取れるまで冷ます
④保存瓶に移す
保存は冷暗所に。2〜3ヶ月程度で使い切ってください。
ヘッドマッサージやボディケアにもおすすめです。
自分のカラダのことを一番理解できるのは自分だけです。隅々まで毎日丁寧に触れて続けると、カラダも「心地いいよ」と嬉しい答えを返してくれます。
しっとりふわふわのデリケートゾーンを育てながら、どんどんカラダを自由に解放していきましょう。
富田 和美
ナチュラルセルフケアコーディネーター
ヒーリングサロン和草オーナーセラピスト
スペインIR認定ソレンセン式フェイシャルリフレクソロジスト
25年以上に渡り化粧品業界に携わる中、30歳すぎに経験した肌荒れを皮切りに、不妊治療経験、更年期の劇的なカラダの変化など様々な実体験から「肌とカラダを活かすセルフケア法」を独自に導き出し、オーガニック・ナチュラルコスメメーカーと消費者とを繋ぐ様々な活動を行う。2015年オープンの「ヒーリングサロン和草〜nico*gusa〜」での「カラダをゆるませる」ことを徹底的に追及した個人セッションをはじめ、全国各地でのワークショップ、大手百貨店でのイベントディレクター等、「うるおい」を主眼においたセルフケアとここちよく暮らすための衣食住の提案を行っている。近年は、デリケートゾーンケアをメインとしたセミナーや個人カウンセリングを通じて不妊や更年期の悩みを抱える女性へのサポート活動に力を入れている。